
注文住宅を建てるなら知っておきたい住宅ローン金利の基本と注意点~変動金利と固定金利の違いとは~
注文住宅は間取りや仕様を自由に決められる魅力がある一方、建築期間が長く、資金計画や住宅ローンの選び方が購入後の家計に大きく影響します。特に住宅ローンの「金利」は返済総額を数百万円単位で左右する重要なポイントです。
この記事では注文住宅の住宅ローン金利について、金利の種類から金利タイプごとの特徴、金利上昇時の対応策まで詳しく解説していきます。
注文住宅における住宅ローン金利の種類
住宅ローンの金利には、「全期間固定金利」「変動金利」「固定期間選択型」の3種類があり、どの金利タイプを選択するかによって同じ金額を借りるにしても返済額が異なります。
金利のタイプごとにメリット・デメリットがありますので、住宅ローンを組む際はどのタイプが自分に合っているのかを比較・検討して金利のタイプを選びましょう。
全期間固定金利
全期間固定金利は、融資実行時点の金利が返済終了まで変わりません。代表的な全期間固定金利型としては「フラット35」があります。
返済期間中に金利が上昇しても返済額が変わらないため、返済額が増えるリスクがなく返済計画が立てやすいので、長期借入することになる住宅ローンでは安心材料となるでしょう。
一方で、全期間固定金利は他の金利タイプに比べて金利が高めに設定されており、市場金利が低くなると全期間固定金利でない方がお得だったということになる場合もあることに注意が必要です。
メリット | デメリット |
・最終的な返済額が確定しているため、返済計画が立てやすい ・市場金利が上昇しても返済額が変わらない |
・他の金利タイプよりも金利が高めに設定されている ・市場金利が下がっても返済額が変わらない |
変動金利
変動金利とは、定期的に金利が見直されるタイプです。金融機関によって異なりますが、一般的には4月1日と10月1日の年2回のタイミングで金利が見直されます。
ただし、変動金利は基本的に「5年ルール」と「125%ルール」が適用されるので、見直された金利がすぐに返済額に影響するわけではありません。
・5年ルール
→金利が上昇した場合でも5年間は返済額が変わらない
・125%ルール
→金利が上昇した場合でも返済額は見直し前の返済額から25%までしか上がらない
※5年ルール・125%ルールが適用されない金融機関もありますので、事前に金融機関に確認しましょう。
変動金利のメリットとしては、3つの金利タイプのなかでも金利が低いことがあります。
2025年8月現在では、全期間固定金利の「フラット35」の融資率9割以下の金利が1.870%であるのに比べて、変動金利の金利目安が0.6~0.9%前後と大幅に低くなります。
しかし、現時点では金利が低い変動金利も今後は金利が上昇するリスクがありますので、金利が上がってしまうと返済の負担も大きくなることに注意が必要です。
また、金利変動によって返済額が変わりますので、長期的な返済計画が立てにくいこともデメリットといえるでしょう。
メリット | デメリット |
・他の金利タイプに比べて金利が低い傾向にある ・市場金利が下がると返済額も下がる |
・市場金利が上がると返済額も上がる ・長期的な返済計画が立てずらい |
固定期間選択型
固定期間選択型は、借入当初の金利が一定期間(3年・5年・10年など)固定されており、金利固定期間が終了した後は変動金利にするか、再度一定期間固定にするかを選択できる金利タイプです。
借入当初から一定期間は返済額が安定しますが、固定金利期間が長いほど金利が高くなる傾向にありますので、金利とのバランスを考えて固定期間を選びましょう。
また、市場金利が下がっても固定期間中は金利タイプを変更できず、固定期間終了後の金利によっては返済額が大幅に増えてしまう可能性もありますので、注意が必要です。
メリット | デメリット |
・全期間固定金利よりも金利が低い傾向にある ・固定金利期間終了後に金利が下がれば返済額も下がる ・固定金利期間中の返済額が変わらない |
・固定金利期間終了後に金利が上がると返済額も増える ・固定金利期間が長いほど金利は高くなる |
金利上昇時の対応策
現在、日本では低金利が続いていますが、将来的には金利が上昇する可能性もあります。
将来的な金利を予測することはできないため、住宅ローンの支払いに困ることがないように金利上昇時の対応策も知っておかなければなりません。
では、具体的にはどのような対応策があるのかを以下でご説明していきます。
金利タイプの見直し
変動金利はもっとも利用者が多く、金利が低く抑えられやすい特徴があります。
しかし、金利上昇局面では返済額が増えてしまいますので、このような場合に適用金利が上がるのを避ける方法の一つが金利タイプの見直しです。
例えば、金利がまだ低いうちに変動金利から固定金利に変更しておいたり、固定期間をより長くするなどの方法があります。
金利タイプの見直しができるのは、下記のようなタイミングです。
・金利見直しタイミング
・固定期間終了時
・金融機関の許可を得た任意タイミング
また、金利タイプや固定期間の変更をする際には、変更手数料が発生することもある点に注意が必要です。
変更手数料の有無は金融機関によって異なりますが、変更方法次第で手数料が無料になる金融機関もあります。変動金利を選ぶ場合は、変更手数料がかからない金融機関で借入をしておくのもいいのではないでしょうか。
繰上返済
繰上返済とは、毎月の決められた返済額に加えて、ローンを返済することです。
利息は元金に対して発生しますので、繰上返済を行うことで元金の部分に対応する利息が消え、総支払額を減らすことができます。
金利が上昇した場合には、繰上返済で借入残高を減らしたり、返済期間を短くすることで利息が増えるのを防ぐことが可能です。
いざというときに繰上返済ができるように、余裕資金は積み立てておくと安心です。
また、金利上昇時だけでなく、利息割合の多いローン返済初期の繰上返済も効果的ですので、ボーナスの支給や昇給などで経済的なゆとりが生まれたときにも検討してみてください。
借り換え
住宅ローンの借り換えとは、別の金融機関で新たに住宅ローンを組み直すことです。
現在借入中の住宅ローンよりも金利の低い住宅ローンに借り換えることで、毎月の返済額や支払利息を減らせます。
ただし、借換時には新規借入時同様に審査があり、事務取扱手数料や登記関連費用などの諸費用がかかる点に注意が必要です。
住宅ローンの借り換えを行う際は、金利上昇リスクに対して経済的メリットがあるかどうかをしっかりと見極めましょう。
また、借り換え時に残りの返済期間が10年未満だと、住宅ローン控除が受けられない点にも気を付けましょう。
住宅ローン控除
住宅の種類によって住宅ローンの借入限度額が定められており、「省エネ基準適合住宅→ZEH水準エネ住宅→長期優良住宅・認定低炭素住宅」の順に借入限度額が増額されます。
控除率0.7%と控除期間13年は、全ての住宅で一律です。
長期優良住宅・認定低炭素住宅の認定を取得できれば、借入限度額が4500万円となって最大で378万円の控除を受けられます。
<計算式>
借入額4500万円×控除率0.7%×控除期間13年=378万円
2025年に新設されたGX志向型住宅については現時点では要件化されていないため、補助金をGX志向型住宅で申請する場合は、長期優良住宅か認定低炭素住宅の認定も同時に取得する必要があります。
※住宅ローン控除を受けるには確定申告が必要です。また住宅建築の際に贈与を受けた方は確定申告時に別の贈与税に対する申告が必要になりますのでご注意ください。
新築住宅の借入限度額(控除率0.7%、控除期間13年は一律)
2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | |
長期優良住宅 認定低炭素住宅 |
5000万円 | 4500万円 | ||
ZEH水準省エネ住宅 | 4500万円 | 3500万円 | ||
省エネ基準適合住宅 | 4000万円 | 3000万円 | ||
省エネ基準に適合しない その他の住宅 |
3000万円 | 0円 |
まとめ
注文住宅を建てる際に利用する住宅ローンは、金利の仕組みを理解することが最も重要です。固定金利は返済額が変わらない安心感がある一方で金利が高めに設定され、変動金利は当初の負担が軽いものの将来の上昇リスクを抱えています。その中間に位置する固定期間選択型は、一定期間は固定で、その後は変動か固定を選べる柔軟な仕組みです。こうした違いを踏まえ、自分の家計やライフプランに合ったローンを選ぶことが欠かせません。
また、金利上昇に備えて繰上返済や借り換えといった対策を検討することも安心につながります。特に注文住宅は建築費や諸経費を含めた総額が大きいため、返済計画の余裕度が暮らしの快適さに直結します。さらに、住宅ローン控除や省エネ住宅向けの優遇制度などをうまく活用すれば、実質的な負担を減らすことも可能です。
結局のところ、「どの金利を選ぶか」が注文住宅の総費用を大きく左右します。将来の金利変動を見据えつつ、余裕を持った資金計画を立てることが、安心してマイホーム生活を楽しむための最大のポイントといえるでしょう。
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